デザインでベストを尽くすべき理由
2019-08-15

Webサイトの制作者として良いサイトを作りたいというのは共通観念だと思います。しかし、予算や納期、制作環境など、Webサイトを制作する上での制約は様々です。今回はそういった制約があっても、デザインでベストを尽くすべき理由についてのお話です。
デザインでベストを尽くせない(尽くさない)理由
デザインでベストを尽くせない(尽くさない)理由は様々ですが、経験上、以下のようなものがあります。
(1)予算が少ない
(2)納期が短い
(3)デザイナーの実力不足など
では1つずつ見ていきましょう。
(1)予算が少ない
Web制作会社は基本的に労働集約型産業のため、制作時間で労務費が決まることが多いです。 1案件に費やせる予算が少ないとそれだけ儲けも少なくなるため、人件費を減らさざるを得ません。
ベテランのデザイナーであれば予算内で上等なデザインをすることが可能かもしれませんが、デザイナーが経験不足であったり、クライアントが意図したものと異なるデザインを制作してしまった場合、コストパフォーマンスの帳尻が合わなくなります。
また、デザイナーの経験値に関係なく、予算がなければ多くの時間をデザインに割くことはできないため、結果的にある程度のデザインで妥協することになります。
(2)納期が短い
Webサイト制作を請け負ってからリリースまでの納期が短い場合です。一般的なWebサイトの制作では、大雑把に見ても仕様設計やデザイン、コーディング、チェックといった工程がありますが、各工程の期間が短いと、自然とデザインにかけられる時間も制限されます。
1回でクライアントの気に入るデザインが出来上がれば問題ないですが、デザイナーの力量は人それぞれ。ベテランのデザイナーであってもデザインの修正が入ることはあります。
しかし、短納期の場合は、修正にあてる時間がないため、リリースに間に合うギリギリのところでデザインを妥協せざるを得ません。
また、WordPress等のCMSであれば、専用テーマがゴロゴロ転がっているので、テーマをあてることで短納期にも対応できるでしょう。ただし、良いテーマが見つからないと、どうしてもテンプレートそのままでオリジナリティに欠けたデザインになることは想像に難しくありません。
ただし、納期については、日々の研鑽やスケジュール管理によっても変わってきますので、「短納期だからデザインに注力できない」という状況はなるべく避けたいところです。
(3)デザイナーの実力不足など
上述のように予算や納期とデザインの質との関係もありますが、単純にデザイナーの実力が足りないと、制作期間が長引いたり修正が入ったりで、時間とコストを圧迫します。
また、Web制作会社によってはコーディングやシステム開発に重点を置いており、デザインに注力していないところもあります。仮にクライアントが流行りに乗ったカッコいいデザインのWebサイトを作りたくても、こういったWeb制作会社に発注してしまうと、良いデザインが出てこないのは明白です。
本題に戻る
さて、今回の議題に戻るわけですが、既に述べたように様々な都合によりデザインに対して妥協するケースがあります。 また、そうなるとデザイナー自身も「これで良いですよね」と割りきって物を考える癖がついてしまいます。
しかし、私個人としてはどんな案件であってもデザインには注力すべきだと考えます。 特に駆け出しのデザイナーの場合は尚更です。
会社の儲けを考えると、デザインの工数を一定で留めておき、工数を減らすことは悪いことではありませんが、デザイナー個人として見るとどうでしょうか。いつも中途半端なデザインで終わると、デザイナーの成長はそこ止まりとはならないでしょうか。
特に駆け出しのデザイナーに多い気がしますが「これくらいで良い」と言われると、そこで思考が止まってしまうのか、別案件でも同じように中途半端なデザインを作成してしまいます。
まだ一人前ではないのに適度なサボり癖がついてしまい「自分は何サイトも納品しているから、今のデザインの方向性は間違っていない」と自らの実力を見誤ったり、変なプライドを持ったりして成長が止まってしまいます。
デザイン力が上がると会社の実力も上がる
デザイナーが実践で1つ上のレベルに挑戦することは、会社全体の向上にもつながります。
まずデザイナーの実力が上がると、予算や納期の制約があっても良いデザインを出せるようになります。 新しいデザイン手法を身につけることで、次はさらに素早く良いデザインができるようになります。こういった好循環が続くと、会社全体の効率性も上がるので、案件をより少ない工数で回せるようになります。
クライアントとしても、Web制作会社から満足のいくデザインが出て、それに伴ってクライアントのイメージアップに繋がれば、そのWeb制作会社との契約を切ろうとは思わないことでしょう。むしろ、もっとイケてるデザインを発注したいと思うのは至極当然です。
Web制作会社にとってもクライアントから信頼されることで、レベルの高い仕事を回してもらえて社員のレベルが上がります。また、仕事量が増えることで売上も伸びます。
デザイン力というのは鍛えないといつまで経ってもそのままです。これはスポーツと同じです。鍛えて負荷をあげることで次の記録に挑戦できるのです。また、チームがいくら環境を整えても、個人の成績が悪いとチームも強くなりません。 個人の成績が伸びて初めて、チームの力が伸びます。つまり、デザイナーの実力が伸びれば、Web制作会社の実力も底上げされるのです。
予算や納期の範囲内で対応することはもちろん大事ですが、個人的にはその枠組みを越える働きをすることを推奨します。良い仕事をすると必ず次の仕事に繋がり、チャンスが広がります。売上が伸びれば社員の給与も増えてモチベーションも上がります。
デザインをするときには毎回「今回はこれくらいで良い」と思う癖をやめて、常に「もう少し凝れるところはないか?」と考えるよう意識改革をしていきましょう。